台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
小窓から朝日が差し込むだけの廊下に、薄く俺の影が伸びる。
感情のやり場に迷えば迷うほど、思い出すのは瑠奈のことばかりだ。
『……爽真との深夜0時を壊されたくなかったから、です……』
『台本が壊れることで、傷つく本物の恋と美玲や紫苑――なにより爽真を、守りたかった』
――瑠奈は腹を括った時ほど、本心が見えなくなる。
けど、俺がわからなくなるくらい上手く隠すのは、その裏に抱える想いや感情が他者に向けられたときばかりだ。
(……思えば、春野を庇った時もそうだった。
陸に罪悪感を抱かせない時もそう。
瑠奈はいつも、他人のために躊躇いなく自分を悪者にする)
……そして、今日。
やり遂げたかったはずの仕事を捨てどこかにいったのは、
きっと――俺のため。
「……ふざけんなよ」
勝手に守って。いなくなって。
勝手な奴だと知ってたけど、ここまでとは思わなかった。
探り探りの足音が、階段を登ってくる。
上がりきってすぐ廊下の真ん中で腹立たしさを押し殺して立っている俺を見つけて、大和が躊躇いがちに話しかけてきた。
「次のインタビュー、爽真なんだけど……
大丈夫?いける?」
すでに暗いスマホ画面から、ゆっくりと視線を持ち上げる。
ひく、と顔を引き攣らせた大和が、「やっぱり」と言いかけたのを遮った。
「――今、行く」
瑠奈が望んだ台本通りの恋ってやつを、俺はもうしない。
けれど、瑠奈が守ろうとしたものを壊さないために――
残り3日、まずは全てを片付ける。