銀白虎
みんな顔を真っ赤にし、うっとりしていた。
でも、しょうがない。
さっきの言葉は正に…王子様の言いそうな台詞だ。
この場にいるのにいたたまれなくなったあたしは、さっさとお礼を言った。
『お礼なんていいよ。気にしないで』
そういって、ギャラリー達を気にしていないように爽やかに階段を上がっていく蓮見くん。
はぁ〜…。
なんだあれは…。
丸っきり“王子様”じゃないか。
よくもあんな台詞達を恥ずかしげもなく言えるな、と思った。
そして……神崎くんを憐れに思った。
女の子は、ああいう優しい言葉や爽やかスマイルに弱い。
それが証拠に、蓮見くんが通っていく脇には女の子達が、熱い視線を送っている。
……恐るべし、転校生。
確かに…王子様と言われるのが、わからなくもない。
“優しい”のは、王子様の必須条件だ。
初めて、あんなに近くで喋った。
やっぱりあの銀髪は、とても綺麗で。
……彼によく似合っていた。