銀白虎
やっぱり、何かを勘違いしているなと思う。
でもなんて説明すればいいやら…。
あたしはこの手のことは、苦手分野みたいだ。
恋する女の子はこんなもんなのかと、あたしはどこか遠くのもののように感じていた。
あたしには、まだわからない感情だ。
と、いうより。
あたしはあの日から……いろんな感情に、鈍感になった。
でも、どうしてだろう。
蓮見くんの前だと、いつもの自分じゃなくなる気がする…。
「結城悪いっ!先行ってる!!」
必死な叫び声に乗せて聞こえてきた。
あ、う…と返事をする前に彼は消えていった。