銀白虎




ライバルの前で涙を流さないよう、懸命に歯を喰い縛っていた…。





……泣くのは、やめてほしい。人の涙には、弱いんだ…。





あたしの記憶が正しければ、彼女に、直接なにかした覚えはない。


だけど自分が悪者になったような……罪悪感に襲われた。






「…ねぇ、神崎くんのどこが好きなの?」



……何を思ったか、あたしはそんなことを聞いていた。




「…なっ、ななななっ!いきなりなによっ!!」




彼女の顔は、さっきと違う意味でまた真っ赤になる。


……ちょっと、可愛いと思った。




「…あ、いや…なんとなく」


「なにそれっ!同情でもしてるわけ!?」




………いや、そんなつもりはなかったんだけどな…。




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