銀白虎




顔をあげると、薄ら笑いを浮かべる男の顔があった…。



……どこかで、見た気が…………。




「…あっ」



気を失う前、あたしに話しかけたのは………こいつだ。





「……あなたが、あたしをここに連れてきたの?」



「……ご名答♪さっすが姫、頭が冴えてる」



そんなことを楽しそうにあっさりと、同意する。


やっぱり、なにがなんだかわからない。


だいたい、姫ってなんだろう…?






「…どうしてあたしを?」

疑問は、底なしのように沸き上がってくる。




刹那、目の前の男は表情を変えた。




へらへらとした笑いから、瞳の奥に、何か猟奇的なものを含ませ…。




「…あいつを、奈落に突き落としてやりたいんだ」





口元に、わざとらしい笑みを作って…。



やばい、と自分の全身が危険信号を発している。





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