銀白虎




「…虎丸ちゃん!」


「わんわんっ!!」




扉を開けてみれば、やっぱり虎丸ちゃんが、ちょこんと座っていた。





「会いに来てくれたの?」

「わん!」


くすっ、と可愛くて仕方ない。




それにしても、よくわかったな。


さすが犬の嗅覚だ。





抱き上げて、部屋の中に入れた。


虎丸ちゃんは、腕の中でずっとあたしを見てる。


そのくりくりとした大きな瞳は、なんだかあたしの全部を見透かしている気がした。




まるで、蓮見くんみたい。






ぺろっと、あたしの目の下らへんを舐めた。




「…ふふっ、やっぱり賢いなぁ」




泣いていたのが、すぐバレちゃった。





ありがとうと、よしよし頭を撫でれば。


嬉しそうに尻尾を振る。





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