銀白虎

仮面の裏側


















ハッとして、顔をあげれば、



「ーーっーー!」


後頭部に、強い痛みが走った。



何かで、殴られたんだろうか。



痛みを辿ろうと、手を動かそうとして気がついた。………手が縛られている。






ーーーーー、どうして。


こんなことに…?



なんだか、前にも似たようなことがあった気がする。


ーーーーーー"アキオ"だ。


でも、違う。


勘、とでも言うんだろうか、なんだかしっくりこなくて……違和感がある。


第一、こんな校内まで接触してくるだろうか。

そんなことするなら、もっと早く接触してきたのではないか?



それにそう…………あの時のような"死"を覚えるような、"恐怖"はないのだ。





「…………やっと、1人になったわね」



こつっと、鈍い音。

その中でゆっくりと、響いてきた。




ーーーーーーそうか。





「言ったわよね?覚悟しておいてって」



「…………美、和、せん、ぱい…」





ーーーーーすっかり、忘れていた。





彼女の瞳には、深い憎悪が潜んでいたこと。





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