銀白虎




中にはちゃんとタオルが準備してあった。さすが、遠山さんだ。

今日は雨脚が強かったので、傘をさしていても少し濡れてしまった。


タオルで濡れた髪の毛を拭く。

…逆に雨で助かったかもしれない。
不揃いでボサボサな髪も、少しは紛れる。



「これ着とけ」

そう言って、蓮見くんが渡してきたのは、フードのついた男性物のパーカー。


「……ありがとう」


男性ものなので、フードを被ればすっぽりと髪の毛が収まる。


………何も言わないところが、蓮見くんらしいと思った。




さらに遠山さんが車の中の温度を上げてくれたおかげで、寒さは感じなくなった。


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