銀白虎




「…なによっ、そんなに驚いて!」


「な、なんでもない…でふ…」




亜美はまだ不振げ。



…ふと、顔をあげると。

“あいつ”が馬鹿にしたように口角をあげているのが見えた。



……マ、マッサツシタイ。

誰のせいだと思ってんじゃぁぁあコンニャロウ!!



ふぎーふぎー!
と唸っていると、

「大丈夫かな、この子?」


亜美がお隣りさん(=神崎くん)と話す声が聞こえてくる。



「あ〜…朝からなんだよなぁ。大丈夫か結城?」


本気で心配そうに、小犬のような純粋な目を向けてくる。



「だ、だだ大丈夫ですっ!」



なんかものすごーく
申し訳なくなる…。

恐るべき子犬パワー。
いや、神崎パワー。





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