まだ恋とは呼べない距離で

エピローグ

晃は本を読み終え閉じると、手放さないまま目を閉じ、静かにため息をついた。

深夜の静まり返った部屋で、ポツリと名前を溢す。
そして表紙の作者の名前をそっと指で撫でる。

おもむろに立ち上がり、キッチンへ向かうと、ティーカップに丁寧に紅茶を入れて、飲み干す。

そして再び、本を手に取ると、本棚の空いた隙間へ丁寧にしまう。

それ以来、晃がその本を読み返すことはなかった。

それでも、その本はずっと同じ場所に置かれ続けた。

まるで、大切な思い出をしまっておくように。
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