Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
午後の光がビルの壁に淡く反射し、昼休みが終わっても柚歩の胸の奥はまだざわついていて、美桜の言葉や周囲の視線や要の声、そして——あの人の静かな一言が何度も胸の中で反響し続けていた。

「決めつけるのは、違うと思いますよ」

その声が胸の奥に残り、静かに揺れ続け、息を吸うたびにその余韻が広がっていくようで、柚歩は仕事を終えると屋上へ向かった。
ここは誰にも邪魔されない場所で、風が吹き抜ける音だけが聞こえ、胸の奥のざわつきを少しだけ落ち着かせてくれる唯一の場所だった。

柚歩は柵にもたれ、ゆっくりと息を吐いた。
胸元のペンダントをそっと握る。
光は静かに沈んでいて、言葉は出ないのに心の中は言葉で溢れ、どうしてあの人は私を庇ってくれたんだろう、名前も知らないのに、私のことなんて何も知らないのに——その問いが胸の奥で静かに渦を巻き、胸がきゅっと締めつけられた。

そのとき——屋上の扉が静かに開いた。

「……ここにいたんだ」

要だった。
手に缶コーヒーを二つ持っていて、その姿が少し照れくさそうで、柚歩は驚いて目を瞬いた。
要は柔らかく笑った。

「ほら、これ。甘いほうが好きだろ?」

「ありがとうございます」

でも胸の奥がまだ少し痛くて、言葉が喉の奥で震えたまま形にならなかった。
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