Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
祭壇の前に立った瞬間、柚歩の胸の奥がきゅっと締まった。

式場の青は美しく、ラピスラズリの光は未来を照らしてくれているはずなのに、
喉の奥だけが、昔の影を思い出すように震えた。

誓いの言葉。
それを言えるかどうか——
その不安が胸の奥で静かに膨らんでいく。

深呼吸をしても、胸の奥の震えは止まらなかった。
喉がかすかに詰まり、
声が出なくなるあの痛みが、ほんの一瞬だけ、過去の影として蘇る。

柚歩は視線を落とした。
胸元のラピスラズリが、
式場の光を受けてふっと揺れた。

その揺れは、「大丈夫だよ」とそっと告げるようで、
そんな優しい震えだった。

その時——
琉生がそっと手を伸ばした。

指先が触れた瞬間、胸の奥の震えが変わった。

琉生の指先は強くない。
ただ、そっと触れるだけ。
けれどその温度が、柚歩の胸の奥に静かに広がっていく。

「柚歩」

声には出さず、
ただ名前を呼ぶように目で伝えてくる。

その目は揺れていなかった。
過去の影を知っていて、それでも未来を選んでくれる目だった。

柚歩はゆっくりと息を吸った。
胸の奥の震えが、
少しずつ、未来の形に変わっていく。

そして——
かすれながらも、確かに言葉を紡いだ。

「……あなたと、歩いていきたいです」

その声は大きくはなかった。
けれど、震えていなかった。
未来へ向かうための、確かな一歩だった。

式場の空気がふっと温かくなる。
参列者たちが静かに息を呑み、
その声を受け止める。

琉生は柚歩の手をそっと握り返した。
その手は、迷いのない温度だった。

「君の声が、僕の未来です」

静かに、けれど揺るぎなく誓う。

その言葉は、
柚歩の胸の奥に静かに落ちていく。
過去の痛みをそっと溶かし、未来の形を確かに示してくれる。

胸元のラピスラズリが、
二人の胸元で同時に光った。

深い青がふっと揺れ、
式場の青と呼応するように広がっていく。

その光は、ただの装飾ではなく、
二人が選んだ未来そのものだった。

柚歩は琉生の手を握り返した。
その手の温度が、
胸の奥の震えを静かに整えていく。

式場の空気が、ふっと温かくなった。

誓いの言葉は、
確かにそこにあった。
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