Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
机の上には、柚歩の新しいアクセサリーの試作が並んでいる。
淡い桃色の石を中心にしたデザイン。
モルガナイトの光を、柚歩の声の世界にそっと添えるためのもの。

琉生は工具を手に取り、細い金具をゆっくりと曲げていく。
その指先の動きは、数年前よりもずっと迷いがなく、
未来へ向かう温度だけを宿していた。

「覆面衣装の新しい案、できたよ」

アトリエの奥に置かれたデザインボードには、
柚歩の覆面衣装の新しい形が描かれている。
顔を隠すためではなく、声を守るための覆面。

“選んだ覆面”のためのデザイン。

「今度のは歌のイメージに合わせて、宝石も少し変えてみた。柚歩には合ってるデザインにしたよ」

琉生はその選択を尊重していた。
柚歩が顔を出さないことで、
声が自由になることを知っているから。

「声の世界を守るのが、俺の役目だと思ってる」

誰に向けた言葉でもなく、
自分の胸の奥に静かに落とすように呟いた。

アクセサリーの石が光を受けて揺れる。
その光は、柚歩の声と同じ温度を持っていた。

琉生はデザインボードを見つめ、未来の形をゆっくりと描き続けた。

柚歩が声で生きるなら、
自分はその声を支える人でありたい。

アトリエの静かな空気の中で、
琉生の手は止まらなかった。

未来へ進むために。
柚歩の声が、もっと遠くへ届くように。
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