Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
第8章 受け継がれる光-トパーズー
胸の奥に残っていた疲れをそっと撫でるように広がっていた。
柚歩はスタジオへ向かう準備をしながら、どこか身体の奥が重いことに気づいていた。
寝不足でもない、風邪でもない、説明のつかないだるさが、昨日からずっと続いている。
優海がキッチンから顔を出す。
「柚歩、顔色……悪くない?」
「ううん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」
笑ってみせたけれど、声が少し掠れていた。
優海は心配そうに眉を寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
柚歩が“無理をしているときの顔”を知っているからこそ、そっと視線を外す。
スタジオへ向かう途中、電車の揺れがいつもより身体に響いた。
胸の奥がざわつき、息が浅くなる。
視界が少しだけ揺れた。
——あれ……?
次の瞬間、足元がふっと消えたように感じて、柚歩はそのまま意識を手放した。
気づいたとき、白い天井が見えた。
消毒液の匂い。静かな機械音。病院のベッド。
横には優海が座っていて、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「……柚歩……よかった……」
「ごめん……倒れちゃって……」
声を出すと、胸の奥がきゅっと痛んだ。
優海は首を振る。
「ごめんじゃないよ……心配したんだから……」
そこへ医師が入ってきた。
カルテを確認しながら、落ち着いた声で言う。
「葉山さん。大丈夫ですか?」
「……はい」
「検査の結果が出ました。貧血もありますが……それだけではありません」
柚歩は息を呑む。
優海の手がそっと柚歩の手を握る。
医師は静かに告げた。
「……妊娠しています」
時間が止まったようだった。
音が消え、呼吸の仕方が分からなくなる。
胸の奥が、痛いほど強く鳴った。
柚歩はスタジオへ向かう準備をしながら、どこか身体の奥が重いことに気づいていた。
寝不足でもない、風邪でもない、説明のつかないだるさが、昨日からずっと続いている。
優海がキッチンから顔を出す。
「柚歩、顔色……悪くない?」
「ううん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」
笑ってみせたけれど、声が少し掠れていた。
優海は心配そうに眉を寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
柚歩が“無理をしているときの顔”を知っているからこそ、そっと視線を外す。
スタジオへ向かう途中、電車の揺れがいつもより身体に響いた。
胸の奥がざわつき、息が浅くなる。
視界が少しだけ揺れた。
——あれ……?
次の瞬間、足元がふっと消えたように感じて、柚歩はそのまま意識を手放した。
気づいたとき、白い天井が見えた。
消毒液の匂い。静かな機械音。病院のベッド。
横には優海が座っていて、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「……柚歩……よかった……」
「ごめん……倒れちゃって……」
声を出すと、胸の奥がきゅっと痛んだ。
優海は首を振る。
「ごめんじゃないよ……心配したんだから……」
そこへ医師が入ってきた。
カルテを確認しながら、落ち着いた声で言う。
「葉山さん。大丈夫ですか?」
「……はい」
「検査の結果が出ました。貧血もありますが……それだけではありません」
柚歩は息を呑む。
優海の手がそっと柚歩の手を握る。
医師は静かに告げた。
「……妊娠しています」
時間が止まったようだった。
音が消え、呼吸の仕方が分からなくなる。
胸の奥が、痛いほど強く鳴った。