最後まで読まないで

うちわ

夏祭りの会場で配っていたプラスチックのうちわ。パタパタとあおぐと涼しい風が来る。「今年の夏は暑いねー」と友達とあおぎ合いながら歩いた。家に帰って、机の上にうちわをポイと置いておいた。夜中、ふと目が覚めると、部屋の隅でパタ、パタと音がする。見ると、机の上に置いてあったはずのうちわが自力で持ち上がり、暗闇の中にじっと立っている見知らぬ誰かの顔を、丁寧に扇いで涼ませていた。
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