最後まで読まないで

サイン会

憧れの作家のサイン会に行った。本を差し出す私の手は震えていた。作家は優しく微笑み「お名前は? 」と聞いてくれた。極度の緊張で声が出ず、私はただ俯くことしかできなかった。それでも作家は気にせず、宛名とサインを書いて本を返してくれた。帰りの電車で、宝物のように本を開く。そこには「サトシくんへ」と私の本名が正確に書かれていた。家に帰ったら、集めた彼の本はすべて捨てることにする。
< 439 / 462 >

この作品をシェア

pagetop