今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜




「ねえ春日さん。〝いい味出してる二人組〟って、心当たりある?」



「さ、さあ……?スタンドインの役者さんとかじゃないですかね」



「ふうん」



高梨さんは、わざとそれ以上追及しなかった。

午前十時。

急きょ招集された『CMレビュー会』。

会議室には、
開発本部、商品企画、宣伝、営業のキーパーソンが集まっていた。



「では、昨夜から今朝にかけての反応を共有します」



宣伝部の担当が、スライドを切り替える。



「SNS上でのポジティブ言及率は約八割。ネガティブは〝羨ましい〟〝うちにはこんな夫いない〟系が中心です」



「それは、ネガティブというより、〝共感の裏返し〟ですね」



快浬さんが静かにコメントする。



「特に、〝家族の時間を守る〟に関する引用が多く、ハッシュタグとしても自然発生しています」



『# 家族の時間欲しい』



『# 今日は無理しないでおこう』


「このあたりは、作戦通りです」



宣伝部が得意げに笑うと、
営業部長が身を乗り出した。



「現場からの速報です。今朝の小売店からの問い合わせ数、前週同時間帯比で約二二〇パーセント」



会議室がどよめく。



「特に、〝CMと同じ面材のモデルを店頭に出したい〟という要望が多く、一部店舗では、既存の展示からの入れ替えが始まっています」



「つまり、〝指名買い〟が増えているということか」



社長が、腕を組みながらうなずく。



「はい。〝あの夫婦が使っていたキッチンがいい〟という、お客様の一言が増えているそうです」



「ブランドとして、〝二位のメーカーのひとつ〝から、〝一番に思い浮かぶメーカー〟に変わりつつある」



社長の言葉に、誰も異論は挟めなかった。
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