余所者-よそもの-【 2 】
「な、なんでもする!!」
「それに、喋り方が馬鹿っぽくて嫌だ」
「直ず……!」
それにユキはふっと小さく笑うと、この屋上に放置されていた廃棄処分の古い学習机の引き出しの中から、一冊の本を取り出した。
「前から渡そうと思ってた」
ユキが差し出したその本は、サンコンのクリームパンみたいな大きな手の中にちょこんと小さく収まった。
横からタイトルを覗き込んでみれば――
『メリー様の執事』
なんだこれ。
サンコンから取り上げてパラパラと目を滑らせれば、中は字詰めの甘い、比較的読みやすそうな文庫本。
「ギャグ小説か?こんなの読ませて何の意味があるんだ?」
「その主人公の話す言葉が固すぎない敬語でちょうどいい。こんな風に接してくれれば、お前の食いぶちくらいは俺が用意してやる」
どうやらユキはサンコンに最低限の品性とマナーを求めているらしい。
サンコンは俺の手からその本を力任せに奪い返すと、早速その場で読み始めた。