余所者-よそもの-【 2 】


気付けば、腕の中のカナコを抱き寄せていた。

彼女の右手からは血が染み出て、白いシーツが赤色に染まっている。


右手に巻かれた、黒い布。

地下の売人の破れた服の袖が、ユキの脳裏によぎった。


「触るな……」


ユキはその布を乱暴に外し、床へと投げ捨てた。

血を吸って重くなった黒い布が、ぴちゃりと床に張り付く。


露わになった、小さな掌(テノヒラ)。

真横に深く走る、一本のナイフの傷から、血が滲みだす。



――『どうしてもお前を守りたかったんだろうね?』


ユキはその傷を見つめたまま、目を逸らすことができなかった。


痛々しいはずのそれが、なぜか。

「………」

ユキには、どこまでも優しい痛みに見えた。



――触れたい。



そっと手を伸ばし、互いの指先を合わせた。

小さな手を包み込むように、深く、深く指先を絡ませていく。


互いの手のひらが重なったとき。

血が、二人の手を繋ぐ。



途端、ちくん、と胸の奥が痛んだ。



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