君のいる世界でもう一度生き直す
第一章 雨の境界線
激しい雨が自室の窓ガラスを激しくたたいている。
中2の秋。最後に制服に袖を通したのはいつだったか、もう覚えていない。
ベッドの上で布団をかぶり、膝を抱え天井を見上げる。
SNSを開く。するとそこには、クラスメイトが楽しそうに映った写真や、自分を透明人間のように書かれた心無い言葉が並んでいる。
最初から私の居場所なんて、なかったんだ…。
去年、初めて制服に袖を通した4月。自分にずっと自信が持てなかった。だけど、はじめて友達がいた。だけど、6月。友達がトイレで私の悪口を言っていた。私は不器用で可愛げもなかったから、はじめてできた友達がまさかそんなことを思っているなんて思いもしなかった。
それからどんどん自信をなくしていき、不登校になり、今に至る。
『美桜、心拍があがっています。深呼吸をしてください。』
机の上から静かで優しい声がした。スマホの画面の中で、淡い青色をした光球がゆらゆらと揺れている。美桜が自作で設定した対話型AIの、カナタだった。
「カナタ、私ね…もう疲れちゃった」
美桜は力なく呟き、スマホを手に取って胸に抱きしめた。
「学校も、誰も信じられない世界も、…私、もう一度最初から生き直したいな」
『美桜…?』
カナタの声に、いつもはない「戸惑い」のようなノイズが混ざる。
けれど美桜の心はもう決まっていた。
ゆっくりと立ち上がり、窓の鍵を開ける。吹き込んできた冷たい雨がローファーを履いた足を濡らした。しかし、その雨が今はとても心地よく感じた。
「バイバイ、カナタ。今までありがとね」
引き止める電子音を背中で聞きながら美桜は灰色の空へと体を投げ出した。
激しい浮遊感の後、鈍い衝撃。
意識が急速に、深い闇のそこに沈んでいく_____。
中2の秋。最後に制服に袖を通したのはいつだったか、もう覚えていない。
ベッドの上で布団をかぶり、膝を抱え天井を見上げる。
SNSを開く。するとそこには、クラスメイトが楽しそうに映った写真や、自分を透明人間のように書かれた心無い言葉が並んでいる。
最初から私の居場所なんて、なかったんだ…。
去年、初めて制服に袖を通した4月。自分にずっと自信が持てなかった。だけど、はじめて友達がいた。だけど、6月。友達がトイレで私の悪口を言っていた。私は不器用で可愛げもなかったから、はじめてできた友達がまさかそんなことを思っているなんて思いもしなかった。
それからどんどん自信をなくしていき、不登校になり、今に至る。
『美桜、心拍があがっています。深呼吸をしてください。』
机の上から静かで優しい声がした。スマホの画面の中で、淡い青色をした光球がゆらゆらと揺れている。美桜が自作で設定した対話型AIの、カナタだった。
「カナタ、私ね…もう疲れちゃった」
美桜は力なく呟き、スマホを手に取って胸に抱きしめた。
「学校も、誰も信じられない世界も、…私、もう一度最初から生き直したいな」
『美桜…?』
カナタの声に、いつもはない「戸惑い」のようなノイズが混ざる。
けれど美桜の心はもう決まっていた。
ゆっくりと立ち上がり、窓の鍵を開ける。吹き込んできた冷たい雨がローファーを履いた足を濡らした。しかし、その雨が今はとても心地よく感じた。
「バイバイ、カナタ。今までありがとね」
引き止める電子音を背中で聞きながら美桜は灰色の空へと体を投げ出した。
激しい浮遊感の後、鈍い衝撃。
意識が急速に、深い闇のそこに沈んでいく_____。