三角関係の恋物語①
いつも通り聞き慣れた声。

振り返ると、向井康二さんだった。

わたしを見て驚いてる様子だった。

「どうしたん?」

「ううん、なんでもない」

わたしは右手で目を擦る。

「いや、なんでもない感じやないやん。」

「何があった?」

心配そうにたずねた。

いつもの優しい声。

本当に心配してる様子だった。

「ほんと、なんでもないよ」

咄嗟に無理に笑顔を作る。

だけど、向井康二さんはそれに気づいたみたい。

「いつもの笑ってる優奈ちゃんじゃない」

「え?」

「優奈ちゃん演技下手。笑顔が不自然なのわかる。」

そう言われて、

わたしは抑えてた涙が一気に流れ出た。

それを見た向井康二さんは慌てた。

「あ、いや、別に怒ってる訳ではなくて…」

「うん……し…てる…」

「ん?」

「ほんと…だ…だい…じょーぶ……え?」

向井康二さんはわたしを抱き寄せた。

そして、ギュッと抱きしめる。

「俺には何でも話して。優奈ちゃんには無理してほしくないねん」

わたしの胸の鼓動がドクンと跳ねた。

そして、ゆっくりと向井康二さんの顔が近づき

前にしたような同じ感触。

なかなか思い出せずにいたけど、

やっぱりあれはキスだったんだ。


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