大好きな幼馴染は既婚者子持ち

第44話 テーマパーク

 テーマパークのある駅で待ち合わせをして、わたしたちは人混みの中寄り添ってテーマパークに向かって歩く。ここに来たのは、中学の修学旅行以来は初めてだった。

 以前来たときは修学旅行ということもあり、ワクワクと緊張が入り混じったような感じだった。だけど今は、まあその時もやけど、類斗と一緒にいられる喜びが全身をかけ巡っている。それ以上でもそれ以下でもない。

 チケットの列は想像以上に混雑していたけれど、そんな混雑さえも類斗と一緒なら楽しいし嬉しかった。1日過ごせる時間が増える訳でもないのに。

 手を繋いでぴったりと身を寄せたわたしたちは、名前を呼び合ったり、見つめ合ったりして待ち時間を過ごした。

 無事にチケットを購入して入場ゲートから入る。

 いま、ふたりが乗りたいものを乗って楽しもう。そして最後にはあのジェットコースターに乗ろうと約束して、過ごした。

 類斗に奥さんや子供がいることを忘れられる気もするけど、そう思っている時点で忘れていない気もして、わたしはひとり苦笑いした。

 いくつかアトラクションを体験してから、大きなカフェのようなお店で昼食を食べた。

「ゆりー」
「類斗」

 たまに名前を呼び合って、見つめ合って食べるだけやのに楽しくてどうしようもなかった。そうしてあの時とか、もしあの時……ってことは思わないようにしたい。

 ただ、いま、ここで一緒に過ごせるだけで幸せだ。

 バラバラにトイレに入る時間さえ惜しい。

「ゆり可愛すぎ」
「類斗も……かっこよすぎ」

 暗くなってきたテーマパークは、大人だけになっていった。わたしたちはジェットコースターの列に並ぶ。1時間待ちの表示。蘇ってくる記憶。今、ここに類斗といる。ぎゅっと手を繋いで。書類上夫婦なんて世界が滅びたら関係ない。そんなものよりわたしたちは強い。負けへんねんから。

 わたしたちはぎゅっと手を握り合う。類斗は後ろからずーっとわたしを抱きしめてくれて、たまに頬やおでこにキスしてくれる。

「幸せ」
「わたしも……でも怖いに変わりはないなあ」

 そして手を握って、一緒にコースターに乗る。あの恐怖を思い出す。そして隣の類斗を見る。いつ見ても……イケメンすぎ。独り占め出来てるなんて信じられへん。これが夢でも構わへん。夢でも一緒におれたらいい。

 わたしは大きな坂をのぼっていくジェットコースターを全身に感じながら、口を開いた。あー心臓がバクバクで……あかん……降りたくなってきた。

「怖すぎて無理やからさ……いま叫んでいい? るーーーいーとーーーー」
「ゆり。じゃあ、俺の叫びも聞いといてや?」

 ジェットコースターが最後の坂を一気にくだった。

「ゆりーーーーーーー!!」
「ぎゃーーーーーーーーーー」

 ジェットコースターが降車口で止まる、勢いよく。なんとか生きて戻れたって思って類斗を見ると、めちゃくちゃ爆笑していた。

「どうしたん?!」
「ごめんごめん……はははは、またゆり叫んでたから聞こえてんのかな? とか思ってさ……ははは」

 ……?! ほんまや聞こえてなかった。でも類斗が嬉しそうにしてくれてるからまあ、よかっったかな。

 わたしたちはコースターから降りて、出口に向かって歩く。

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