敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「ずっと家にも帰ってないだろう? 陽咲が今どこで暮らしてるのか心配だったんだ」

 今のはきっとウソに決まっている。私にお金の無心をしたいだけだ。だけどほんの少し、親として娘を気にかけていたのかもしれないと、信じたい気持ちもある。

「勝手に引っ越したのかと思って調べたら、俺の戸籍からお前が抜けてた。結婚したのか? 親になんの報告もなく」

 わざわざ戸籍の書類を確認して、私が結婚したと知ったのだろう。そして、ここの住所を突き止めたのだ。
 父がゆっくりと近づいてきて、隣にいる碧人さんと対峙した。

「お前の旦那は、この男か?」

 父の濁った瞳には強欲な光がギラギラと灯っていた。すでに私の結婚相手が〝京極グループの御曹司〟だとわかっていてここに現れたのだ。
 本物の大富豪を目の前にし、父は極上の金づるを値踏みするかのように、じとっとした視線を碧人さんへ送った。

「初めまして。京極碧人です。陽咲さんとの結婚の報告が遅くなり、申し訳ありません」

 碧人さんは不快感をあらわにすることもなく、冷静にそう言ってていねいに一礼した。父がどれほど礼儀を欠いていようと、彼は眉ひとつ動かさない。

「陽咲、でかしたぞ。とんでもなく金持ちの男をつかまえたな。お前にこんな取り得があるなんて考えもしなかった」
< 113 / 130 >

この作品をシェア

pagetop