紫陽花の短編集物語#5

約束を破った回数、覚えてる?

主人公・白石 紗和(しらいし さわ)
約束を必ず守るタイプ。
いつも「待つ側」で、我慢が癖になっている。
静かだけど、限界はちゃんとある。


約束を破り続ける親友・相原 美波(あいはら みなみ)
悪気なく約束を破る遅刻常習犯。
「そんな細かいこと」で済ませてきた張本人。


紗和の味方・三上 玲奈(みかみ れな)
はっきり物を言う現実派。
「それ、もう復讐していいやつだよ」と背中を押す。


クラスメイト(中立)・藤原 悠斗(ふじわら ゆうと)
状況を客観的に見るタイプ。
後半、効いてくる一言を言う。





約束を破った回数、覚えてる?① また私だけ先に来てる
【駅前・夕方】
紗羽「……まだ来てない。当たり前になってきてる…」
紗羽(モノローグ)「集合10分前。来てるのは、いつも私だけ」
紗羽(スマホを取り出し、画面を見ながら)「もう着く”って、30分前だよ」
少ししてから、美波からラインがきて、紗羽は呆れる。
紗羽「『ごめん。もうちょっと遅れるわ』って、……やっぱり」
紗羽(モノローグ)「待つのが当たり前になったら、約束は、約束じゃなくなる」




約束を破った回数、覚えてる?② 何回目の「ごめん」?
【1時間後】
美波「ごめん! ちょっと押しちゃった!」
紗羽「……うん」
紗羽(モノローグ)「今日の“ごめん”は、もう何回目だろう」

【帰り道】
紗羽「ねえ。私が待ってる時間、考えたことある?」
美波(笑って)「大げさだって」
紗羽(モノローグ)「この一言で、何かが切れた」


約束を破った回数、覚えてる?③ メモ帳に残した数字
自室で、紗羽はノートを開く。
紗羽(モノローグ)「4月3日…20分。4月18日…45分。5月1日…60分」
紗羽、ペンが止まる。
紗羽「……12回」
紗羽(モノローグ)「怒らなかった回数。我慢した回数。全部、私だけが覚えてる」
通知がくる。美波からだ。
美波(メッセージ)『明日も同じ場所で!』
紗羽「……うん」


約束を破った回数、覚えてる?④ 今日は、待たない
【翌日・駅前】
時計は集合時間ぴったりだ。
紗羽(モノローグ)「今日は、ここまで」
時計が進む。紗羽、振り返る。
紗羽「……帰ろ」
紗羽、歩き出す。
数分後、美波からの着信。
美波「どこ?」
紗羽「帰った」
紗羽(モノローグ)「初めて、私が約束を終わらせた」


約束を破った回数、覚えてる?⑤ 数えてたの、気づかなかった?
【翌日・教室】
美波「昨日さ、さすがに冷たくない?」
紗羽、美波にノートを差し出す。
美波「……なに、これ」
紗羽「約束を破った回数」
美波(笑って)「……冗談でしょ」
紗羽「冗談なら、書かないよ」
紗羽(モノローグ)「責めたいわけじゃない。ただ、分かってほしかっただけ」
沈黙が続く。





約束を破った回数、覚えてる?≪最終話≫ 覚えてるのは、私だけだった
【放課後】
美波「……今までホントごめん。やっと、分かった」
紗羽「分かってくれたなら、よかった。でも、忘れないで」
美波「次は……守る。絶対に名も瑠」
紗羽「“次”があるかは、私が決める」
紗羽(モノローグ)「復讐じゃない。これは、境界線」

【駅前】
時計は集合10分前。
美波、先に立っている。
紗羽(モノローグ)「約束は、守る人同士でしか成り立たない」
紗羽、美波に笑顔で歩み寄る
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