紫陽花の短編集物語#5

優しい子って、誰が決めたの?

登場人物
•朝比奈 紬(あさひな つむぎ):高2
 クラスで「優しい子」と言われ続けている主人公。断れない。
•黒川 悠斗(くろかわ ゆうと):クラスメイト
 空気を読むタイプだが、紬をよく見ている。


優しい子って、誰が決めたの?① 優しい子、朝比奈さん
【場面:教室】
クラスメイトA「朝比奈さんなら引き受けてくれるよね?」
紬「あ…うん、大丈夫」
クラスメイトB「ほんと優しいよね〜」
紬(心の声)「断らない=優しい、なのかな」

【放課後】
悠斗「また頼まれてたね」
紬「別に…嫌じゃないし」
(小さく笑う)
ナレーション「“優しい子”って呼ばれるたび、私は少しずつ、自分が分からなくなっていった。」

優しい子って、誰が決めたの?② 断れない理由
【場面:回想・小学生】
先生「紬ちゃんは本当にいい子ね」

【現在・教室】
クラスメイトC「ごめん、今日の当番代わって!」
紬「……うん」

【トイレ・一人】
紬(心の声)「断ったら、嫌われる気がして」

【廊下】
悠斗「それ、本当にやりたいこと?」
紬「……分かんない」

優しい子って、誰が決めたの?③ 優しさの正体
【場面:文化祭準備】
クラスメイトA「紬がいれば安心だよね」
紬「……」
(資料を抱えすぎて落とす)
悠斗「無理しすぎ」
紬「優しくしないと、私には何も残らないから」
沈黙。
悠斗「それ、優しさじゃなくて…怖さじゃない?」



優しい子って、誰が決めたの?④ 言えなかった一言
【場面:放課後】
クラスメイトB「今日も残れるよね?」
紬(口を開く)「……」(言えない)

【屋上】
紬「“嫌”って言葉、喉の奥でいつも止まる」
悠斗「言っていいんだよ」
紬「……言えなかったら?」
悠斗「俺が聞く」



優しい子って、誰が決めたの?⑤ 初めて断った日
【場面:教室】
クラスメイトA「紬、これお願い」
紬(深呼吸)「……ごめん。今日は無理」
静まり返る教室。
クラスメイトB「え…」

【放課後】
紬(震えながら)「嫌われたかも」
悠斗「それで離れる人なら、最初から紬を見てない」

優しい子って、誰が決めたの?≪最終話≫ 私は、私を決める
【場面:朝の教室】
クラスメイトC「今まで無理させてごめん」
紬「……ううん」
(少しだけ笑う)

【屋上】
悠斗「変わったね」
紬「うん。でも、やっと私」
紬(心の声)「優しい子。じゃなくて、断れる私でいい。
優しさを決めるのは、周りじゃない。私は、私を決める。」
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