逆転令嬢 捨てられた私は2度目で王太子のパートナーになる
「んっ…」

朝日の眩しい光を感じた私は目を覚まし、身を起こした。

「あれ…?」

私は周囲を見渡す。
そこには古びたテーブル、クローゼット、近くにはカビ臭い毛布があった。

ここは私が死ぬ前に過ごしていたグロリア家の屋敷での唯一私に与えられた部屋。

どういうこと!?
私はあのとき処刑されたはず。
なのに、どうして生きてここにいるの…!

私は慌ててベッドから下りて、近くにあるヒビが入った全身鏡の方に行き、自分の姿を目にした。
そこには10歳の私の姿が映っていた。

「どういうこと…?子供の姿に戻ってる…。もしかして私、タイムリープしてしまったの…」

疑問が自分の中で沸き起こる。
どうやって過去に戻ってきたのか分からない。
だけど、これはチャンスだ。

「今世では私がグロリア家の当主になる。あのクズな兄なんかよりもね」

私は魔法が好きだった。
私の大好きな魔法をあのクズでロクデナシの兄に利用された。
前世の私は馬鹿正直にアーノルドの言葉を信じ、お父様を信じ、いつか認めて欲しいと思って、彼らの為に力を尽くした。
だけど彼らは認めるどころか、私を貶し、使い潰した。

何も知らない馬鹿な私。

だけど今度は私がグロリア家の当主になり、大好きな魔法を幸せの為に使う。

「その為に必要なことをしなくちゃね…」

小さく呟くと、私は自分で身支度を整える。
妾の子である私に侍女はいない。
自分のことは自分でやらなければならないのだ。

もう、我慢しないと決めた瞬間。
今まで張り詰めていたものが不思議と消えた。
一度死んだ私に怖いものはない。
不思議とそう思えた。

部屋を出て、食堂のドアを開けると、そこにはお父様、義母、義妹、アーノルド私以外の家族と使用人達がいた。
四人はそれぞれ朝食を取っていた。

お父様は私の顔を見ると不機嫌な顔をして一言告げた。

「何しに来た?部屋に戻れ。お前の食事は侍女に運ばせる」

彼の言葉どおり時折、私の元には朝食が届けられる。
それはカビたパン、腐ったスープだ。
それすらも届けさせられない時もあるけど。

「カビたパンはもう飽き飽きです。それよりもお父様に見て欲しいものがあります」

「私の言葉が聞こえなかったのか。家族の食事中だ。部屋に戻れ」

(その家族に私は入ってないのね)

内心呆れに似たため息をついてしまう。
お父様は自分の利益がある人間にしか興味がない。
今の私は彼にとってグロリア家の能力を引き継いだかも分からないただの子供だ。
服も髪もボロボロで見窄らしい子供に過ぎないのだろう。

だけど、それもこれで終わりだ。

私は魔力を込めて指を軽く左右に降った。
パァァァとした淡い青色の光に包まれ、食堂を一瞬で凍らせた。

「嘘だろう…。全部凍っている」
「レイティシア…お前まさか魔法が目覚めたのか!」

「ええ。このことをお父様にお知らせしたくて参った次第です」

「アーノルドではなく、まさかお前が…。それに見る限り、魔力も高い…」
「……………ッ」

お父様は魔力があるから魔力を感じることが出来る。それに彼は私の力を理解したはずだ。
『氷の魔法』これは正真正銘グロリア家の魔法だから。

「こんなのデタラメよ!どうせ、その卑しい小娘が魔法具を使って魔法を使ったのよ!」

「そうだ!母さんの言う通りだ!卑しい庶民の血が魔法覚醒者なんてない!」

煩い親子ね。
無駄に喚くだけで、自分達は何もしないくせに。
良いわ。分からせる必要があるわね。

私は手のひらに魔力を込めて、前に突き出した。テーブルの上にあった料理が全てカチコチに凍ってしまう。
その光景を目の当たりにした義母達は言葉を失った。

「こんなこと、魔法具を使ってできるのでしょうか?馬鹿な私は分からないので教えて頂けますか。お義母様?」
「それは…」

義母は悔しそうな顔を浮かべ、アーノルドはギリっと奥歯を噛みながら私を睨みつける。

魔法具があったとしても、魔法具で規模の広い部屋を凍らせたり、同時に料理まで氷漬けになんてできるはずがない。
そんなものがあれば、間違いなく国宝級並みの魔法具に匹敵する。

「お前の力は理解した。魔法を解け」
「承知致しました」
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