WATCH.
「佐野ー」
「ん」
「これ返すね」
腕から時計を抜こうとする。一応、傷が無いかの確認もしようと掴んだ。
その手を上から止められた。
「すいません、課長お先に失礼します」
「あれ、佐野こないの?」
「この後予定あって。与会と帰ります」
「そっかー、またオフィスで。与会さんもまた」
挨拶も漫ろに、腕を柔く掴まれたまま式場を出る。
「いいなあ、結婚」
「え」
思っていただけのことが口から漏れていたらしい。佐野がきょとんとした顔で振り向く。
「二人とも幸せそうだった」
そう言ってから、オフィスで箕輪さんが話していたことを思い出す。