WATCH.

 その言葉にぼろぼろと目から雫が溢れた。理由はよく分からない。先程、あんなに佐野へ理由を言及したのに。

「本体はついてこない?」
「今なら無料で」
「わたしのどこが良いの?」
「愛情深いところ」

 用意していたみたいに即答。

「甘いものを沢山頬張るところ」
「よく分からない……」
「すごく分かりやすいけどな。時計を見る姿より分かりやすい」

 そう言われて、口を噤む。それが分かったように小さく笑って、佐野が尋ねた。

「今何時?」

 わたしは文字盤を覗く。一緒に佐野も腕時計に視線を落とした。




 end.

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