雨上がりと美少年





 ある6月の朝、学校で私は恭くんが窓の外を見ているのを目にした。

 恭くんは中庭を見ていた。

 つまんなそうに。多分それは美少年だからそう見える。


「何してるの?」


 私が聞くと、恭くんはこちらを振り返った。

 振り返った顔は、ぞくぞくするほどロマンチックだ。


「別に」


 恭くんは言った。

 これは恭くんもだし、恭くんじゃない人もだが、男子達ってどうしてよく別にって言うんだろう。



「雨が降らないかと思って」

「そろそろ梅雨だからね」

「傘さすの面倒くさい。濡れるし。」

「降らないと良いね」



 美少年と梅雨はよく似合う。

 私は美少年が大好きなので(普通に、平たい意味で)、よく恭くんに話しかける。

 恭くんは、美少年だから話しかけられるのに、憶測だが、多分慣れている。


「本当に降らなきゃ良いけど。山井さん、傘持ってきた?」


 恭くんは私の事を山井さん、と呼ぶ。

 他の男子たちみたいに呼び捨てにしない。

 そこも私に彼がロマンチックに思える理由のひとつだ。


「持ってきてるよ」


 私が言うと、ふーん、と恭くんは曖昧に返事した。

 窓を見つめる瞳が印象的だった。

 酷くつまらなそうな。



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