春は眩しくて、届かない
帰り道。
夕方の風が少し冷たくて、制服の袖を揺らす。
いつもなら、ここに陽奈がいる。
「今日の給食さ〜」とか「数学やばかった」とか、どうでもいい話をしながら歩く道。
それが今日は、ひとり分だけ静かだった。
でも不思議と、完全に不安にはなれなかった。
陽奈は強い。
ちょっと落ち込んでも、ちゃんと立ち上がる人だ。
(だから大丈夫)
そう思おうとして、もう一度だけ空を見上げる。
夕焼けは、昨日と同じ色をしていた。
なのに、少しだけ違って見えた。