春は眩しくて、届かない
「……ごめん」
「今の、母親」
言葉がうまく続かない。
でも水瀬は、 変に踏み込まず静かに聞いてくれた。
「実は、母親とうまくいってなくて」
水瀬は少しだけ眉を下げる。
「……大丈夫?」
その聞き方が、あの時と同じで びっくりするくらい優しかった。
俺は思わず笑いそうになる。
「大丈夫そうに見える?」
「見えない」
即答。
そのあと、 水瀬は少しだけ考えるみたいに視線を落として、 静かに言った。
「でも」
「お母さんに、一回ちゃんと会って話した方がいいと思う」