春は眩しくて、届かない


完璧な仲直りじゃない。


全部解決したわけでもない。


父親のことも、
家のことも、
まだ難しいまま。


でも。


切れていた糸を、
もう一度だけ結び直したみたいだった。


通話を終えたあと、
湊はスマホを見つめる。


それからふと、
昼間の階段を思い出した。



“前より進んでると思うから”



水瀬の声が、
夜の静かな部屋に、
不思議なくらい残っていた。



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