春は眩しくて、届かない
そして年が明ける。
0時を少し過ぎたころ、 スマホが震えた。
『あけおめ』
短いメッセージ。
送り主の名前を見た瞬間、 胸が少し跳ねる。
——柏木くん。
慌てて打ち返した。
『あけましておめでとう!』
送信してから、 ベッドの上でスマホを抱える。
柏木くんと、 “あけおめ”を言い合う仲になったんだ。
そんなことを、 今でも時々不思議に思う。
最初はただ、 少し気になる人だったのに。
気づけば、 隣にいるだけで安心して。
メッセージが来るだけで嬉しくて。
目が合うだけで、 胸が少し騒がしくなる。
でも。
わたしはまだ、 “好き”の形が分からなかった。
告白したいのか。 このままでいたいのか。
柏木くんが隣にいてくれるだけで、 心は簡単に舞い上がってしまう。
なのに柏木くんは、 いつだっていつもの柏木くんだった。
眠そうで。 少しぶっきらぼうで。 でも優しくて。
その変わらなさに、 わたしは何度も救われていた。