春は眩しくて、届かない



「……最初はさ」



低い声。


夕暮れの公園に、
静かに響く。



「水瀬って、
なんか放っとけない人だなって思ってた」



柏木くんは少し笑う。



「優しいくせに、
変なとこ無防備で」




「あと、
踏み込み方がおかしい」



「えぇ……」



思わず抗議みたいな声が出る。


柏木くんが少し吹き出した。


でも、
すぐまた静かな顔に戻る。



「でも、
気づいたら」



風が吹く。


桜が揺れる。



「水瀬といると、
ちゃんと息できるっていうか」



胸が、
ぎゅっと熱くなる。



「しんどい時も、
水瀬と話すと少し楽になって」



「……」



「笑ってると安心した」



柏木くんはそこで一度言葉を切る。


それから、
少しだけ照れたみたいに眉を寄せた。



「……たぶん俺、
結構前から好きだった」


< 223 / 264 >

この作品をシェア

pagetop