春は眩しくて、届かない




「さすがに緊張する」



その声で、
りのんはやっと我に返った。



「え、あ……」



だめだ。


頭が真っ白。


でも、
ひとつだけは分かる。


ずっと、
伝えたかった気持ち。


冬の図書館も。
雪の日も。
バレンタインも。
全部。


ちゃんと、
好きだった。


わたしはふいにぎゅっと制服を握る。


それから、
泣きそうなくらい熱い胸のまま、
小さく笑った。



「……わたしも」



声が少し震える。


柏木くんが、
静かに目を見開く。


わたしは恥ずかしくて少し俯きながら、
でもちゃんと言った。



「柏木くんのこと、好き」



安心したみたいな、
でもまだ少し緊張してる笑い方。



「……よかった」



その声がやわらかくて、
胸がまた熱くなる。


柏木くんは缶をベンチの横に置いて、
少しだけ姿勢を正した。


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