春は眩しくて、届かない


窓の外では、
春の夜風がカーテンを揺らしている。


でも陽奈の頭の中には、
2年間の景色が一気に流れ込んできていた。


初めてりのんと隣の席になった日。



一緒にコンビニ寄って帰った放課後。
文化祭。
テスト期間。
泣いた夜。


そして、
この冬。


恋をして、
傷ついて、
でもそれでも隣にいた日々。


少しだけ笑う。



『なんかさ』



「ん?」



『この1年って、一番青春してた気がする』



電話の向こうで、
りのんが静かになる。


天井を見上げながら続けた。



『楽しかったなーって』



その声は、
少しだけやわらかかった。


りのんが小さく笑う。



「……うん」



『てか、りのん彼氏持ちで高3になるのやばくない?』



「ひな!!」



『きゃー!!』




『水瀬さんリア充ー!!』



「もう切る!!」



でも笑いながら、
胸の奥でちゃんと思っていた。


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