春は眩しくて、届かない
教室へ戻ると、まだ少しざわついた空気が残っていた。
「次移動だっけ?」
「やば、急がなきゃ」
そんな声が飛び交う中で、 数分遅れて柏木くんが教室へ入ってくる。
その瞬間、 陽奈の心臓が小さく跳ねた。
なのに柏木くんは、 さっきまで告白されていたことなんてなかったみたいに、いつも通りだった。
気だるそうに椅子を引いて、 机の上の教科書を適当に開いて。
「柏木ー、次のプリント持った?」