春は眩しくて、届かない
夕陽が、 横顔をオレンジ色に染める。
その表情を見て、 少しだけ息を止めた。
——こういう顔、 みんな知らないんだ。
学校で見せる、 “柏木湊”じゃないみたいだった。
その瞬間、 胸の奥でまた静かに思う。
好き。
秋風みたいに静かに、 でも確かに、 その感情はもう陽奈の中に根づき始めていた。
シュークリームを食べ終わる頃には、 空はすっかり夕暮れの色になっていた。
わたしは空になった袋を軽く折りながら、 隣を見た。