【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
そして。
『そうだ』
肯定した。
私は思わず頭を抱えそうになった。
『だが六花が子会社の平社員などと触れ合う機会はないから安心しなさい』
そういうことを言いたいんじゃないのに。
私は小さく息を吸った。
そして静かに言う。
「でも」
周囲の喧騒の中で。
私は自分でも不思議なくらい落ち着いていた。
「私たちの生活は社員さんたちのお陰で成り立っているんですよ」
電話の向こうが静かになる。
「それを忘れないでください」
言い終えた瞬間。
私自身も少し驚いていた。
こんな風に兄へ反論したのは初めてかもしれない。
けれど、それは本心だった。
西園寺家が豊かなのは社員の方々のお陰だ。
工場で働く人。
店舗で働く人。
運送をする人。
営業をする人。
事務をする人。
その人たちがいるからこそ、西園寺家は成り立っている。
それに、陽菜と知り合ってから平民って、実はお兄様たちが言うような低俗な人たちではないんじゃないかって思い始めてきたの。
中等部までは学校の生徒は良家の子女ばかりで、一部平民と言われる人たちもいたけれど、お兄様の話を信じていたこともあってその人たちとは話したことがなかったと思う。
でも、今は平民だからと見下すのは違うと思っている。
その言葉を聞いて。
向かいに座る三人の様子が少し変わったことには気付かなかった。
翼様は黙ったまま私を見ている。
蓮様も驚いた顔をしている。
碧様も珍しく視線を向けていた。
三人とも。
どうやら私が思っていた以上に、この会話を聞いていたらしい。
その頃。
電話の向こうでは紫苑兄様が慌て始めていた。
『ちょ、ちょっと六花怒らないで!!』
怒ってはいない。
少し呆れているだけだ。
『とにかくすぐに佐々木を迎えに行かせるから、そのまま本社においで!!』
「行きません」
『会いたくて仕方がないんだよ!!』
「迎えなんてやめてください」
『六花ぁ……』
「GWが終わるまでは西園寺には戻りません」
私はきっぱりと言った。
『六花……』
なんだか捨てられた犬みたいな声だった。
少しだけ罪悪感が湧く。
でも帰らない。
絶対に帰らない。
「とにかく、それ以上要件がないなら切ります」
『待っ――』
私は通話終了ボタンを押した。
プツッ。
迷惑だったかな、と思ってみなさんの方をみると、なぜかさっきまでとは違う表情で私を見ていた。
『そうだ』
肯定した。
私は思わず頭を抱えそうになった。
『だが六花が子会社の平社員などと触れ合う機会はないから安心しなさい』
そういうことを言いたいんじゃないのに。
私は小さく息を吸った。
そして静かに言う。
「でも」
周囲の喧騒の中で。
私は自分でも不思議なくらい落ち着いていた。
「私たちの生活は社員さんたちのお陰で成り立っているんですよ」
電話の向こうが静かになる。
「それを忘れないでください」
言い終えた瞬間。
私自身も少し驚いていた。
こんな風に兄へ反論したのは初めてかもしれない。
けれど、それは本心だった。
西園寺家が豊かなのは社員の方々のお陰だ。
工場で働く人。
店舗で働く人。
運送をする人。
営業をする人。
事務をする人。
その人たちがいるからこそ、西園寺家は成り立っている。
それに、陽菜と知り合ってから平民って、実はお兄様たちが言うような低俗な人たちではないんじゃないかって思い始めてきたの。
中等部までは学校の生徒は良家の子女ばかりで、一部平民と言われる人たちもいたけれど、お兄様の話を信じていたこともあってその人たちとは話したことがなかったと思う。
でも、今は平民だからと見下すのは違うと思っている。
その言葉を聞いて。
向かいに座る三人の様子が少し変わったことには気付かなかった。
翼様は黙ったまま私を見ている。
蓮様も驚いた顔をしている。
碧様も珍しく視線を向けていた。
三人とも。
どうやら私が思っていた以上に、この会話を聞いていたらしい。
その頃。
電話の向こうでは紫苑兄様が慌て始めていた。
『ちょ、ちょっと六花怒らないで!!』
怒ってはいない。
少し呆れているだけだ。
『とにかくすぐに佐々木を迎えに行かせるから、そのまま本社においで!!』
「行きません」
『会いたくて仕方がないんだよ!!』
「迎えなんてやめてください」
『六花ぁ……』
「GWが終わるまでは西園寺には戻りません」
私はきっぱりと言った。
『六花……』
なんだか捨てられた犬みたいな声だった。
少しだけ罪悪感が湧く。
でも帰らない。
絶対に帰らない。
「とにかく、それ以上要件がないなら切ります」
『待っ――』
私は通話終了ボタンを押した。
プツッ。
迷惑だったかな、と思ってみなさんの方をみると、なぜかさっきまでとは違う表情で私を見ていた。