金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
ーーそうなんだ

小百合は詩月の体温を肩に感じながら、ビアンカの話を噛み締めていた。

「『小百合とは10年ぶりに演奏するって』礼拝のピアノ演奏を引き受けたのも、たぶん緊張を鎮めるためだったんじゃないかな」

『そんなこと……」

小百合の頬は熱くなり、言葉が続かない。

『小百合。ウィーンには、詩月に会いたくてコンクール頑張ったんだよね』

小百合は耳まで真っ赤になった。

『わたし、ヴァイオリンを1度やめたこと後悔したの。あの時、やめなかったら安さんやミヒャエルくらい上手くなってたんだろうなと」




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