君の隣で、私になれた


ーーー翌日の夕方。


バイトの更衣室。

女子ロッカー。


制服へ着替える。



「今日も暑いねー」

紅羽はいつも通り元気。

「ほんとだね」

私は笑う。


先に黒シャツへ袖を通す紅羽。

「先出とくねー!」

「うん」

紅羽はそのまま更衣室を出ていった。


静かになる。

私は鏡を見る。


首元。

肌色の傷テープ。


一枚。

二枚。

三枚。



昨日、湊につけられた跡。


胸元は制服で隠れる。

でも。

首は隠れなかった。



小さく息を吐く。

「……」

もう一度だけ。

テープを押さえる。


大丈夫。

これで見えない。


そう言い聞かせて。

私は更衣室を出た。




ーーバックヤード。


新が在庫を確認している。

琉生はエプロンを結びながら笑っていた。


「おはよ」

「おはよう」

私も挨拶する。


その時。


琉生の視線が止まった。

「莉桜」

「ん?」

「その首どうした?」


私は反射的に手で隠す。

「あ…」

しまった。


「これ?虫刺され」

笑って誤魔化す。

「虫?そんな貼る?」

琉生が首を傾げる。


「ちょっと酷くて…」

「へぇ」



その時。


「あーーーー!!」

紅羽が寄ってくる。

そして私を見てニヤニヤしていた。


嫌な予感がする。

「もしかして〜?」

「え?」

「湊くん?」


一瞬で顔が熱くなる。

「ち、違う!」

思わず否定する。



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