君の隣で、私になれた
ーーー翌日。
ーー莉桜side.
昼休み。
文学部。
いつものように友達と話していると。
少し離れたところがざわついた。
「え、神崎くん?」
「経済学部の?」
「なんで文学部に?」
「かっこいい……」
思わず振り向く。
「莉桜!」
まさかの私を呼ぶ。
「え?」
「ちょっと時間ある?」
私は驚きながら頷いた。
「うん…」
周りの視線を感じながら。
2人で人気のない中庭へ向かう。
4人で何度も座ったベンチ。
今日は私と琉生だけ。
少し沈黙が流れる。
琉生がポケットからスマホを取り出す。
「これ」
「あ……!」
私のスマホだった。
「昨日忘れてたろ」
「ごめん!」
慌てて受け取る。
「ありがとう。」
また沈黙。
その空気が苦しくて私は笑った。
「危なかった」
「湊に怒られちゃうところだった」
でも、琉生は笑わなかった。
「昨日」
「……?」
「ごめん。聞くつもりじゃなかった」
「…え」
琉生の言葉に胸が止まる。
「でも…聞こえた」
私は目を逸らす。
「あれは……」
「ちょっと喧嘩しただけで…」
笑う。
上手く笑えない。
「だから大丈夫」
琉生は静かに私を見る。
「一昨日の莉桜、なんか変だった」
「笑ってたのに」
「湊さんが来た瞬間」
「全然違う顔になってた」
「バイトでもずっと無理してたろ」
私は何も言えない。
「莉桜」
「大丈夫じゃないだろ」
その一言で。
張っていた糸が切れた。
笑おうとする。
「大丈夫……」
笑えない。
唇だけ震える。
「私は……」
言葉にならない。
涙だけが。
ぽろぽろと溢れ出る。