君の隣で、私になれた
「えっ…これちょっと恥ずかしい……」
「私には大人っぽすぎない?」
湊は首を横に振る。
「ホテルだからたまにはいいかなって」
「絶対似合うから着てみて」
少しして。
洗面所から出る。
「……どう?」
少しだけ照れながら聞く。
湊は何も言わなかった。
ただ。
ゆっくりと視線を向ける。
慌てて見ているわけでもなく。
品定めするようでもなく。
似合っているかを確かめるように。
静かに見つめる。
私はなんだか照れて落ち着かない。
目が合う。
「……なに?」
思わず笑ってしまう。
湊は少しだけ目を細めた。
「やっぱり似合う」
「思ってたよりずっと似合ってる」
その一言だけで。
胸が少し熱くなる。
「ほんと?」
「うん、想像してた以上」
照れて目をそらす。
「そんなに見ないで……」
「なんで?」
「恥ずかしいもん」
湊は少し笑う。
「そうだろうね」
「え?」
「だから俺の前だけね」
「……もう」
私は照れて下を向いて笑う。
湊が近付いて、
髪に触れてそのまま後ろへ流す。
キャミソールの肩紐をそっと整えて。
湊の指が谷間をなぞる。
「でも選ぶの大変だった。」
「そうなの…?」
「全部莉桜に着せたくなって。」
「水着も、これも」
笑いながら言う。
「なにそれ」
私も笑った。
ーーソファに並んで座る。
テーブルには小さなボトル。
グラスが2つ。
「乾杯」
「莉桜、内定おめでとう」
グラスが軽く触れる。
「ありがとう」
そして少しだけ口に含む。
「美味しい?」
「……美味しい。」
話しながらワインを少しずつ口に運ぶ。
気付けば結構飲んでいた。
グラスを揺らしながら笑う。
「ちょっと酔ったかも」
「今日、結構飲んでるもんな」
「なんか…楽しくて」
ふふっと笑う。
湊もつられて笑った。
そして私の腰を引き寄せる。