君の隣で、私になれた
第11話「俺だけを見て」
ーーーあれから数日後。季節はまだ冬。
ーー琉生side
「おつかれー」
閉店後。
バイトを終えて4人で店を出る。
冬の夜風が冷たい。
「寒っ!!」
紅羽が肩をすくめる。
「毎日それ言ってる」
新が呆れる。
「だって寒いもん!」
「冬だからなー」
「琉生まで!」
くだらないやり取りをしながら歩く。
「あ」
突然、莉桜が足を止める。
視線の先。
駐車場の端。
黒のセダン。
その横に立つ男。
「湊」
莉桜の声が少しだけ柔らかくなる。
「えっ」
その言葉にすぐ反応する紅羽。
「うそ!本人!?彼氏!?」
テンション上がりながらも小声で話す。
「彼氏」
莉桜が笑う。
男がこちらへ歩いてくる。
黒髪。
切れ長の目。
高身長。
身長は俺と同じくらいか?
けどなんか存在感がある。
「あー、やっぱり顔強い」
「やめて」
莉桜が笑う。
「紅羽、顔見たことあるんだ?」
「うん、前に写真で見せてもらった」
「へぇ」
俺と…たぶん新も初めて見る。
莉桜の彼氏が目の前までくる。
「おつかれ」
落ち着いた声。
「お迎えありがとう、待った…?」
莉桜が聞く。
「10分待った」
「…ごめん」
反射的に謝る。
すると彼氏が少し笑う。
「冗談」
「とりあえず寒いからこっち来い」
「うん」
自然なやり取り。
なのになぜか少しだけ引っかかる。
「初めまして、西条湊です」
彼氏はそう言って少し笑う。
「彼氏の湊」
莉桜が隣から紹介する。
「商学部1年の城野紅羽です!」
「関谷です」
「神崎です」
丁寧に学部とフルネームで自己紹介する紅羽。
最低限の自己紹介をする新。
とりあえずそれに続く。