君の隣で、私になれた


「寂しくない?」

「別に」

「1人でも?」

「1人好きなんで」

先輩は呆れたように笑う。

「モテるのにもったいない」

「モテない」

「モテるよ」

なぜか即答だった。


「新くんってさ、」

そう言って距離を少し詰める先輩。

「女子に優しいよね」

「普通です」

「普通じゃないでしょ」

先輩は首を振る。


「話しかけたらちゃんと聞くし」

「荷物重そうだったら持つし」

「終電が近かったら送るし」

そして笑う先輩。

「ほら優しい」

俺は首を傾げる。

「普通じゃないですか?」

「だからモテるんだよ」


やっぱりよく分からない。


困っている人がいたら助ける。

頼まれたら引き受ける。

それだけだ。


「じゃあ好きなタイプは?」

腕を絡めてくる先輩。

面倒だからわざわざ避けない。

「落ち着いてる人」

「へぇ」

「優しい人」

「うん」

「綺麗なお姉さん系」

先輩が笑う。

「私じゃん」

そして冗談みたいに言う。


「そうかもしれないですね」

普通に答える。

先輩が固まる。

「否定しないんだ」

「聞かれたから」

「天然?」

「違います」

先輩はまた笑う。

そして体を寄せてくる。



正直、嫌いじゃない。

綺麗だし。

優しいし。

一緒にいて楽。


でも好きかと聞かれたら違う。

その違いを自分で分かってる。



ーー帰り際。


「ねぇ新くん」

「ん?」

「もし私が告白したら?」

突然そう聞いてくる先輩。


一応真剣に考える。

そして。

「断ります」


先輩が吹き出す。

「即答じゃん!」

「聞かれたんで」

「理由は?」

「恋愛感情ないからです」

沈黙。


先輩は数秒黙って口を開く。

「そっか」

そして小さく笑う。

「すみません」

「謝らないで」

「まだ告白してないし」


その時。

俺は改めて思った。


やっぱり恋愛は面倒だ。
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