レディ・マーメイド
開会の時間となり、壇上に金盛が上がる。
「皆さま、本日はようこそお越しくださいました。まずはビッグニュースから。我がゴールデンワールドホテルは、ついにニューヨークのマンハッタンに新たにホテルをオープンさせます!」
どうだ!と言わんばかりに高々と宣言する金盛が、痛々しい。
金盛におべっかを使う人達が「さすがです!金盛社長!」と持ち上げるのが更にシラけさせるが、ここは大人しく拍手しておく。
目立つ訳にはいかない。
二人を追い詰めるまで平静を装わなければ。
金盛は意気揚々と、前方のスクリーンにホテルの完成イメージをCG映像で映しながら話を続ける。
「どうですか? マンハッタンの一等地にこの素晴らしい外観! これで日本のホテル界は世界から一目置かれますよ」
派手なゴールドの色使いはマンハッタンの雰囲気にそぐわず、恥ずかしい。
内装もゴテゴテで品がなかった。
そもそもマンハッタンには、既にロイヤルクレストが5年前に開業している。
現地のホテル業界の人達とも友好な関係を築いており、視察に行く際は会食する機会もあるが、そう言えば近々日本のホテルがゴリ押しで開業するみたいだと話していたのはこのことか。
ため息をつきたくなるが、今は堪える。
ようやく乾杯すると、食事と歓談の時間になった。
「亜紋さん。須藤社長はなんとかして金盛社長と話をしたいようですね。先程から近づこうとしては、金盛社長に横目で睨まれ、諦めています」
黒木がそっと小声で話しかけてきた。
「そうだな。だが実行犯の男と女が逮捕された以上、金盛も須藤と口裏を合わせる必要がある。恐らくパーティーがお開きとなれば、二人はどこかでひっそりと話をするかもしれない。黒木、目を離すなよ」
「承知いたしました」
金盛の自慢パーティーに最後までいるのは苦痛だったが、致し方ない。
2時間経ってようやくお開きとなり、いよいよだと亜紋は黒木と気持ちを入れ替えた。
金盛は会場の扉の横で、帰っていくゲストに声をかけながら見送っている。
亜紋も人波に紛れて会場をあとにした。
黒木をその場に残し、他のゲストと話をしながらエレベーターホールに向かう。
しばらく立ち話をしていると、ジャケットの内ポケットでスマートフォンが震えた。
「失礼」
断ってから話の輪から外れ、スマートフォンを取り出す。
表示を見ると黒木からの電話だった。
「動いたか?」
短く問うと、黒木も「はい」と答える。
「須藤社長が金盛社長に目配せしてから、壁にあるドアを開けて隣の部屋へと姿を消しました。最後のゲストを見送れば、金盛社長もあとを追いかけると思われます」
「わかった。俺もすぐに向かう」
電話を切ると、「私はここで失礼させていただきます」とゲストに挨拶してから踵を返した。
「皆さま、本日はようこそお越しくださいました。まずはビッグニュースから。我がゴールデンワールドホテルは、ついにニューヨークのマンハッタンに新たにホテルをオープンさせます!」
どうだ!と言わんばかりに高々と宣言する金盛が、痛々しい。
金盛におべっかを使う人達が「さすがです!金盛社長!」と持ち上げるのが更にシラけさせるが、ここは大人しく拍手しておく。
目立つ訳にはいかない。
二人を追い詰めるまで平静を装わなければ。
金盛は意気揚々と、前方のスクリーンにホテルの完成イメージをCG映像で映しながら話を続ける。
「どうですか? マンハッタンの一等地にこの素晴らしい外観! これで日本のホテル界は世界から一目置かれますよ」
派手なゴールドの色使いはマンハッタンの雰囲気にそぐわず、恥ずかしい。
内装もゴテゴテで品がなかった。
そもそもマンハッタンには、既にロイヤルクレストが5年前に開業している。
現地のホテル業界の人達とも友好な関係を築いており、視察に行く際は会食する機会もあるが、そう言えば近々日本のホテルがゴリ押しで開業するみたいだと話していたのはこのことか。
ため息をつきたくなるが、今は堪える。
ようやく乾杯すると、食事と歓談の時間になった。
「亜紋さん。須藤社長はなんとかして金盛社長と話をしたいようですね。先程から近づこうとしては、金盛社長に横目で睨まれ、諦めています」
黒木がそっと小声で話しかけてきた。
「そうだな。だが実行犯の男と女が逮捕された以上、金盛も須藤と口裏を合わせる必要がある。恐らくパーティーがお開きとなれば、二人はどこかでひっそりと話をするかもしれない。黒木、目を離すなよ」
「承知いたしました」
金盛の自慢パーティーに最後までいるのは苦痛だったが、致し方ない。
2時間経ってようやくお開きとなり、いよいよだと亜紋は黒木と気持ちを入れ替えた。
金盛は会場の扉の横で、帰っていくゲストに声をかけながら見送っている。
亜紋も人波に紛れて会場をあとにした。
黒木をその場に残し、他のゲストと話をしながらエレベーターホールに向かう。
しばらく立ち話をしていると、ジャケットの内ポケットでスマートフォンが震えた。
「失礼」
断ってから話の輪から外れ、スマートフォンを取り出す。
表示を見ると黒木からの電話だった。
「動いたか?」
短く問うと、黒木も「はい」と答える。
「須藤社長が金盛社長に目配せしてから、壁にあるドアを開けて隣の部屋へと姿を消しました。最後のゲストを見送れば、金盛社長もあとを追いかけると思われます」
「わかった。俺もすぐに向かう」
電話を切ると、「私はここで失礼させていただきます」とゲストに挨拶してから踵を返した。