レディ・マーメイド
「メリークリスマス」

細かな気泡が弾ける美しいゴールドのシャンパンで二人は乾杯する。

いつもとは違う、どことなく緊張した雰囲気。

すぐに頬が赤く染まるのは、シャンパンのせいだけではないはず。

樹莉は正面に座る亜紋の姿にドキドキしつつ、うつむき加減でスープを飲む。

クリスマスイブの料理は豪華で、コンソメスープにはキャビアとフォアグラが入っていた。

オマール海老とタルタルの前菜に、ターキーのグラヴィーソース添え、メインはトリュフバターとハーブのローストチキン。

デザートは、イチゴとホワイトチョコレートのパルフェに、ゴールドのあめ細工が飾られていた。

「美味しくて食べすぎました」

食後の紅茶を飲みながら樹莉がそう言うと、亜紋が「散歩に行くか?」と尋ねる。

「亜紋さん、お散歩好きですよね」
「おい、じいさんみたいに言うな」
「ふふっ、いいと思いますよ。毎日お散歩すれば健康的で足腰も丈夫になりますし」
「だから、まだじいさんじゃない」

ようやくいつもの調子で笑い合い、二人でガーデンに行くことにした。

「樹莉さま、コートを。外は寒いですから」

そう言って神谷がオフホワイトのロングコートを羽織らせてくれる。

「ありがとう。行ってきます」

神谷と黒木に見送られて、二人は部屋をあとにした。
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