あの時間を忘れる方法が あるなら
柊さんが私の手を取ると、小さなベルベット調の箱から取り出した指輪を右手の薬指にはめるとフッと小さく笑った
『‥今度は受け取ってくれるか?』
「ッ‥‥」
契約をした時に莉奈さんに送るはずだった指輪は私には相応しくないと柊さんに突き返した
その時の事から今日までの事が走馬灯のように思い出される
その全てがツラくなかったと言ったら嘘になるけれど、忘れたくないと今はそう思えた事が嬉しい‥‥
涙ぐみながらも背伸びをすると、初めて自分から柊さんにキスをすれば、そのまま唇をこじ開けられ深いキスが繰り返された
『社長、佐々木秘書、勤務中ですよ?』
「ッ!」
いつから八雲さんはそこに居たのだろうと思いながらも、自分がとっていた行動に顔が赤らみ両手で顔を覆った
『八雲‥‥減給を覚悟の上で見たいならそのまま見てろ』
『社長!!』
八雲さんの声に思わず笑ってしまうと、柊さんもそれにつられたように声を出して笑った
これから私にどんな未来が待っているのかは誰にも分からない‥‥
でも、これから柊さんとこの時間を紡いでいく方法を2人でずっと考えていきたい
ようやく始まったばかりなのだから‥‥
END