限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 生きていくお金なら、自分で稼げば良い。守るべき存在だと思っていた、クインは立派に育った。私の心を守ってくれるくらいに。

 私はもう……母が亡くなり絶望した父が作った借金を、自分の不幸の言い訳に使ったりなんてしない。

 私が自分を不幸だと思うのなら、それは正しい。お金がなくても幸せだと思うなら? それも、きっと正しい。

 これから、お金がなく貧乏暮らしをしたって、私はギャレット様を救いたい。

「……自分から捨てた男にも、多少の情が残っているのか。ローレン。あいつの居る場所へ、行ってこい。馬車も一台やるよ……ただし、もう二度と俺に顔を見せるな。安穏とした生活を捨ててでも、あいつが心配だと思うのなら、行ってこいよ。あれだけのことをしたんだ。本人も本人の周囲もお前が近付くことを、嫌がるだろう。会えるかどうかは、わからんがな」

「ありがとう。イーサン。でも、私……」

 そうして貰ったとしても、馬車を出してくれるお金を返すあてももないし、ここで私がギャレット様の元へ行き、王妃の裏切りを知らせ自分のしたことを告白し何もかも失えば、平民として生きていくことになる。

< 103 / 169 >

この作品をシェア

pagetop