限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 私が先んじて彼が狙われているという情報を持ち、危険が迫っていたことを知っていたせいかもしれない。

 妙な雰囲気を感じて空を見上げると、城壁の上に矢をつがえた弓兵が居る。

 待って……どうして、彼は城壁の中に弓を射ようとしているの?

 不穏な空気に私は居ても立っても居られなくなって、止める声も聞かずに走り出した。

 もちろん、門番は追いかけてくる。それはそうだ。私は不審者で、これは不法侵入になるもの。

 門を走り抜け、廊下を辿り広場のようなところで、何人かの兵と話し込んでいたギャレット様を見つけた。

 ……あの弓兵が狙っていたのは、やっぱり!

 私はギャレット様に近づこうとすると、周囲の男性が止めに入った。当たり前だ。私は今ではもう、ただの貴族の一人。

 彼の婚約者でもなんでもないんだから、もし王族と謁見するのなら、彼が望まない限りは定められた面会時間の中で順番待ちが通例だけど、そんなの今の状況で間に合わない。

「……ギャレットさまー!!! 早く屋内に、逃げてー!!! 早く、危ない!!!」

 私が後ろから追いかけてきた衛兵に羽交い締めにされながら、懸命に叫んだ。

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